第17章 コンクリートを漂流
外に出ても私は走り続けた。このまま試験会場まで走ってしまおうと思った。
『おー!!』は途中で、『わー!!!』に変わった。
「わーーー!!!!」
時折目を開けなくなって、目を瞑って走った。
廊下で何人か、誰かいたような気がした。でも、よくわかんなかった。変な人だって思われたかもしれない、と思いながらも、なんだか止まることは出来なかった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……つい…ちゃった……。」
1時間も前なのに、私はもう試験会場の入口に着いてしまっていた。
どうすればいいのか分からなくて、暫くの間、肩を弾ませたまんま棒立ちしていた。
そして、思い立ったようにラジオ体操を始めた。それも途中までしか分からなくて途中でやめた。
モヤモヤする。
緊張もだけど、なんだろうこの気持ち……。
「ふんっぬ!!」
バチンっ!!
と頬を最大級の力でぶっ叩く。
「いたー!!!」
めちゃめちゃ痛かった。まだじんじんいってるし、頬が熱い。
「…1人でなにやってるんだろう……。」
でも、そのお陰でさっきのもやもやは少しだけ軽減した。
ちょっぴり冷静になった私は、会場がどんな風になっているのかちょっぴり離れて確かめた。
ねずみ色の冷たい雰囲気。
なんだか、工場地帯のような、そんな感じの場所。
……なんだかちょっと触っただけで、色んなものが爆発しちゃいそうだ。それに、中は凄く見晴らしが悪い……と思う。同じくらいの高さの建物が乱立している。
頭で作戦を立てていく。
ゴールはあっちで、道はこうあって……。
でも、考えているとだんだんその考えもモヤモヤに食べられてしまう。
「んーーー!!!」
どれだけ首を振ってもそのもやもやは何処かへ行ってはくれなった。
《轟、八百万チーム。条件達成!》
そんなブザーが聞こえてきて、さっきまであんなに喜ばしかったソレが、今はただ心を焦らせる材料にしかならなかった。
左手をぎゅうっと抱きしめても、それは何故か、もやもやを増大させていった。