第16章 合理的はなまる
《蛙吹、常闇チーム。演習試験。レディ、ゴー!》
そして、何事も無かったかのように第2回戦が始まった。そんなところにも雄英の厳しさをヒシヒシと感じる。
梅雨ちゃんと常闇くんだ。2人とも成績優秀で、弱点なんか無いように見えるんだけど…。相手は……エクトプラズム先生。
始まった直後、エクトプラズム先生は自身の数を増やして2人を囲む。
エクトプラズム先生の個性は、分身。口からエクトプラズムを出して、任意の場所で自分に化けさせられる。多数を相手にするのは、1人を相手にするのより圧倒的に厄介だと思う。
囲まれた瞬間、常闇くん…いや、ダークシャドウくんが梅雨ちゃんを咥えて上階へ投げ、そして、梅雨ちゃんが常闇くんを舌でつかんで同じ場所へ連れていった。流れるような連携プレー。
「さすが梅雨ちゃん!常闇くん!!」
「あの2人じゃなきゃ出来ない脱出方法!」
「コミュニケーション能力……。この社会、ヒーローとして地味に重要な能力。特定のサイドキックと抜群のチームプレーを発揮できるより、誰とでも一定水準をこなせる方が良しとされる。」
「こ…コミュ……!!」
鋭児郎くん達の手当を終えたであろう先生が中に入ってくる。
こ、コミュニケーション能力…!?
私がいちばん持ってないやつ。
会話続かないし、続けられないし、初めて会う人とか全然話せないし。
重要な能力の欠如を叩きつけられた私はちょっぴりショックを受けた。