第16章 合理的はなまる
「その通りだよ。」
「先生?」
今まで何も言わずにモニターを見ていたリカバリーガール先生が声を上げた。
「自分たちの出番が来るまで、対戦する教師との相性を、じっくり考えておくこったね。」
「相性…」
下を向いていた顔を上げてモニターをみると、鋭児郎くんは息切れしていて、砂藤くんは棒立ちだった。
そして、セメントス先生の攻撃で、2人はセメントに飲み込まれた。
「砂藤くん!鋭児郎くん!!」
思わず声が出た。
《砂藤、切島チーム。両者、気絶によりリタイア》
モニターにはばったりと倒れた2人が映し出され、無慈悲なアナウンスが響く。
「やれやれ、初戦から出番かい。」
「そ、そんな…。ここまで一方的に…?」
「個性の相性が悪すぎたんだ。」
ぐっと手を握りしめて下を向く。
この試験は、思ってたよりずっとずっと難しい試験なんだ。鋭児郎くんや砂藤くんがすぐに気絶しちゃうくらい。
下を向いてちゃダメだ。パチンと頬を叩き、ぐっと前を向く。
ちゃんと考えないと。
どうやって、戦えばいいのか。
…違う。戦うんじゃない。
どうやって逃げればいいか。
どうやって、守られればいいのか。