第16章 合理的はなまる
第1回戦は、鋭児郎くんと砂藤くん。
なんだか2人とも正面突破!!……って感じのタイプだ。
「がんばれ!鋭児郎くん!砂藤くん!」
相手はセメントス先生。
授業は受けたことある(すっごくわかりやすいよ!)けど、どんな戦い方かは知らない。
2人ともやっぱり真っ正面から突っ込んで、セメントス先生の作った壁をガツンガツンと壊していく。
流石の漢気だ!2人ともすごい!すっごくかっこいい!
「いいぞー!!がんばれ!!」
「…このままじゃダメだ…!」
「へっ?」
私が両手をブンブン振りながら応援していると、出久くんは隣で、神妙な顔をして言った。
「だ…だめって…なんで?」
鋭児郎くんの個性も、砂藤くんの個性も凄いのに。
モニターの向こうでは、2人はまだ壁を壊し続けている。確かになんか、2人とも…疲れてきたような…そんな顔してる…ような……。
「確かに切島くんと砂藤くんの個性は凄いけど…時間に制限がある…。対してセメントス先生は、恐らくそれがない。」
「…ってことは……」
「時間が経てば経つほど、切島くん達が不利になる…!」
「そ…そんな…」
「この実技試験は、試験を受ける生徒の天敵となる先生を意図的にぶつけてる…。その課題を如何にしてクリアするかが、カギなんだと思う。」
「天敵…か…。」
出久くんのその真剣な目に、ちょっとたじろいだ。
その観察眼と思考力に。やっぱり出久くんは、凄い人なんだって思った。