第16章 合理的はなまる
⚪︎試験概要
・第6回戦の、芦戸三奈、上鳴電気の試験と同じステージで同時進行する。ただし、芦戸、上鳴チームとはスタート地点が異なる。
「同じステージで同時進行……って、どういう事だろう…。」
「うーん…校長先生が3人を相手するって、ことなのかなって、思ったけど……」
「でも、校長先生…あんな感じの小動物なのに……。」
「きっとなにかとんでもない力を持ってるんだよ……多分。」
・試験が始まるまで、芦戸三奈、上鳴電気と会話をすることを禁ずる。
「これは…」
「3人で協力させないため…かな。」
「かなぁ…。」
・クリア条件は、ゲートを潜ることのみ。
「ふむふむ……。先生に攻撃しても意味無いんだね…。」
「……逃げるしかないんだよね…。」
・芦戸三奈、上鳴電気のペアがクリアしたとしても、安藤がクリアしたことにならない。
・お前の力で出来ることを考えて動け。 以上。
出久くんはプリントをひと通り読み終わると顔を上げた。
「なるほど……これは、」
「私に、“逃げさせるため”の試験……。」
「…あのヒーロー殺しの件で、先生方はこうしたのかな。」
ぎゅっとプリントを握りしめる。いい紙がちょっぴりくしゃっとなった。
きっとこれは、守られるものとしての自覚を持たせる試験だ。
私の力で出来ること……。そんなのきっと、逃げることがやっとなんだ。
悔しかった。
「どんな形式であっても期末試験だよ。一緒に頑張って、一緒に林間合宿いこう!」
「…うん。そうだよね。」
出久くんの激励の言葉に、私は強引に前を向いたのだった。
《砂藤、切島チーム。演習試験。レディ、ゴー!》