第14章 青くさい春。
次の休み時間、私たちはリベンジをした。私は鼻にティッシュを詰めた状態なのでちょっとかっこ悪い。酸の量と出るタイミングを調節するんだ。
そして、廊下の突き当りで待つ。
さっきよりちょっとドキドキしている。
「来たよ……今だ!!」
「せーのっ!」
「うひゃっ!」
ドンっ
誰かとぶつかった感触がする。よしっ!今度こそ成功か?そうおもって私は目を瞑ったまま言葉を続けた。
「ごっごめん!!あっ!久しぶり!あのね、この前はごめ……ん……?」
あれ?なんだか、匂いが…違う……ような……。
なんだか……甘い……?
「…おい、くそタマゴ……。何と間違えてやがる…あぁ''?」
「あれ?安藤なにしてんの?あれ?芦戸と…耳郎もいんじゃん。どした?」
「あ、酸で滑ったんか。」
チラと目を開いてみるとそこには般若の面をした勝己くんが至近距離に見えた。隣には電気くんも範太くんいる。
あ、あれ?き、切島くんは?
…思考が停止する。勝己くんに視線を向けたままただ固まる。このままじゃ殺される…!どうしよう、どうすれば…!
頭が必死に解決策を探す。グルグルまわる。
もう、なんでもいい。ここから無傷で逃げられれば。
「おいくそタマゴ!!いい加減に」
「さ…最初はグー!!」
「!?」
私がおもむろにグーを出すと何故かちゃんと勝己くんもグーを出してくれた。
「ジャンケンポン!!勝った!じゃあね!!」
「えっ、まって安藤ー!!」
「ちょっ、どういうことー!?」
私の頭が導き出した最善策、それはじゃんけんだった。
私は唐突に勝己くんにじゃんけんで挑み、勝ち逃げした。廊下を全力疾走で逃げた。
「……なんだったん今の……。通り魔?」
「ジャンケンの通り魔?平和かよ。」
「くそ……タマゴに負けた……。」
「そこ悔しがるんかよ!!…ってあれ?切島は?さっきまでいたよな?」
「用事思い出したってUターンしてったぞ?」
「用事ぃ?」
「くそタマゴに負けるなんて……許せねぇ!!勝ってくる!!」
「いや爆豪純粋かよ!!」