第14章 青くさい春。
「来た!」
「いい?いくよー?」
「う、うん。」
私たちは、返事をするにはどうすべきか、考えに考え抜いた結果、廊下でばったりぶつかったフリをして言うっという作戦を立てた。
響香ちゃんがイヤホンジャックで音を聞き、切島くんが来ることを確認。三奈ちゃんが酸で私をスっ転ばす。
そんなちょっと、いや、だいぶ不安が残る作戦で、今はただ、3人、廊下の突き当りで待機している。響香ちゃんがイヤホンジャックを使って真剣に音を聴いている。
胸がドキドキいっている。頑張れ!ちゃんと向き合うんだ!私!!
「今!」
「せーのっ!!」
三奈ちゃんが手から酸を出し、私の背中をトンっと押す。
あれ……?意外と、滑る…!?
「わっわわっわわぁああぁぁぁあ!?」
「あっ!!滑りすぎた!!」
「あ、安藤ーーー!?」
「……!?」
廊下を歩いていた切島くんは、目が点になっていたのが一瞬見えた。まぁ、誰かが一瞬目の前で滑って現れたところをみたらそうなるよね。
べちっ
鈍い音がして、私は壁に衝突した。
「い、いたた……。」
「ごっ、ごめん!やりすぎたー!」
「大丈夫!?」
「へ、平気……。」
鼻がなんか生ぬるいな、と思って触ってみると、手が赤くなった。
鼻血がでていた。
そして、気がつくともう、切島くんは居なかった。