第12章 友達と、友達のその先
鋭児郎くんはそうやって、いとおしそうに言うもんだから、私のこと言ってるわけじゃないのに、なんだか頬が少し、熱くなった。
それと、驚いた。
鋭児郎くんの心の中にそんなに情熱的な感情があったなんて。友達だったのに、知らなかった。
その感情がクラスの誰かに向けられているんだ……。
ドキドキする。これが恋バナ……。
「でもさ、そいつ、好きなやつがいるんだよな。」
「えっ……。」
そう言う彼は、すごく辛そうで。そんな顔、見たくなかった。
「だっ大丈夫だよ!!だって、鋭児郎くんはカッコイイし!優しいしさ!!…えっと、そ、そうだ!その子の気持ち、変えちゃえばいいんだよ!!」
「…そ、か。」
「私、ちゃんと協力する!」
「……そいつってさ、目がクリクリで、髪が黒くて」
そこまで言われて、1人、彼女のことが頭に思い浮かんだ。
「わっわかった!!その子って梅雨ちゃん!?」
興奮した私は、ブランコから身を乗り出した。
するとなんとバランスを崩し、私はブランコから頭から落ちそうになって。
「わっ、わわっわあああ!!」
「おっと。」
ギュッと目を閉じて来るであろう衝撃に備えたが、その衝撃はこなかった。
代わりにきたのは、暖かくて、かたい。
「ごっ、ごめん!!あ、ありがとう……ございます。」
「…なに考えてんだよ。危ねぇって。」
鋭児郎くんが、助けてくれたみたいだった。
抱きとめ、られている。