第12章 友達と、友達のその先
「…出久くんはね……助けてくれたの。私、小さい頃から人付き合いが下手でね、私が引っ越してきたばっかりの時ね、い…ろいろあってね。」
「…。」
「そんな時、助けてくれたのが出久くんでね。」
はじめて、こんなに自分の恋心を話した。
それは1度口から零れると止まらなくて、言葉にすれば、胸の奥が熱くなって、暖かくなって。
「初めての友達になってくれて…知らない間に、すきになってたんだ……。」
私はポツポツと続けた。
「あっ、ごっごめん!!私の話ばっかりして。大切な話なんだよね…。ごめんなさい!」
「………やっぱ、いいや…。やっぱなんでもねぇ!」
そう言って鋭児郎くんは私の隣のブランコに乗って、同じように漕ぎ始めた。
「……?でも、大切な話なんじゃ……。」
「……。もういい。ごめんな!!」
鋭児郎くんを見ると、なんだか凄く辛そうに笑っていた。下を向いていた。いつも前を向いている彼が、下を向いていた。
その姿を見ると、いっきに私の心の中は罪悪感でいっぱいになった。
私が余計なことを話したからだ。鋭児郎くんは、相談したかったんだ。なのに、私は勝手に怖がって勝手に拒んだ。友達なのに。
「ごめん…なさい。私が、勝手なことばっかり……。」
「俺の方こそ、大切な話ってったのにな…。本当ごめん。」
鋭児郎くんはこっちを見て、ごめんと言った。
彼のその目には、見覚えがあった。
そっか、その目は、もしかして。
話したかったのって、もしかして。
「…ねぇ、鋭児郎くん…。」
「ん?」
隣にいた鋭児郎くんに声をかける。
フッと風が吹いて、髪が顔にかかった。私は髪を耳にかけ、そして、言った。
「鋭児郎くん、好きな人、いるの?」