第12章 友達と、友達のその先
「個性の使い方、ちょっとわかってきたか知らねぇけどよ、テメェはつくづく俺の神経逆なでするなぁ。」
「あれかぁ。前のデクくん、爆豪くんみたいな動きになってた。」
「あぁ、確かに。」
確かにそうだった…。でも、だって……。出久くんの中の勝己くんは、“かっちゃん”は、ずっと、出久くんの……。
「体育祭みたいな半端な結果はいらねぇ。次の期末なら、個人成績で否が応にも優劣がつく。」
彼は出久くんを指さすと
「完膚なきまでに差つけて、テメェぶち殺してやる。」
「っ……。」
怖い顔で、怖い声でそう言った。
私は、出久くんと勝己くんは昔、こんなふうじゃなかったと聞いたことがあった。どうして、こうなってしまったんだろう。
もう1度、仲良くなれないのかな……。
「轟ぃ…!テメェもなァ!!」
そう言うと彼は教室を出ていってしまった。
「…久々にガチな爆豪だ。」
「焦燥…?或いは憎悪……。」
「安藤くん!?大丈夫か!尋常ではない震えだぞ!」
「…へ、平気、だぜ…よ。」
「坂本龍馬だと!?」
ただただ怖くて、私は震えていた…みたい。怒っているの時の勝己くんの声、昔から大きくて怖くて、苦手だ。
「安藤、ちょっと怖いけど大丈夫か?爆豪んち行けるか?」
「あ、うん!大丈夫!」
鋭児郎くんが後ろから優しく声をかけてくれた。
一人じゃなくて本当によかった。自分一人だったら怖くて行けなくて仮病使って、次の日に爆破されるっていうパターンが簡単に予想できる……。
鋭児郎くんにはお世話になりっぱなしだ。
いつか、お返ししないとな……。