第12章 友達と、友達のその先
彼はスっと頭を下げた。紫色の頭はつんつんで、ちょっと触りたくなった。
「……全然いいよ。だって、君が言ったこと……本当だもん。こ、コネでは無いけど!と、とにかく!本当に、全っ然!気にしてないから!!」
「本当か?」
頭をあげた彼は、何だかとても拍子抜けしたという面持ちだった。
「うん!」
「そうか。俺、体育祭の後、言いに行こうと思ったけど…負けたからさ…。格好つかねぇなと思って、ずっと言えなかった……。……これやるよ。」
「へ?」
彼は、自分のお昼ご飯からひとつ、天ぷらを掴むと、私のかけうどんにほおり投げた。なんと!かけうどんが天ぷらうどんに!!
「お詫びの印。あとワカメのお詫び。」
「ぴゃあああ!!天ぷらうどんだ…!!ありがとう!!ありがとう!!えっと……名前。」
「あぁ、言ってなかったか。心操。心操人使。」
「ありがとう。人使くん!」
嬉しくて嬉しくて、たまらなくて自然に笑顔になる。
あっ、しまった!またやっちまった!
また馴れ馴れしく名前で呼んでしまった!
「!!……いきなり名前呼びかよ。」
「ご、ごめんないっ!!いひゃい!なんえぇぇ!!」
「生意気なんだよー、安藤のくせにー」
名前で呼ばれることに慣れていなかったのか、謝ろうとしたところ、彼は照れたような顔をして私の頬をぐいーっと引っ張った。
……なんかたのしそうな顔してるし…。今まで見た中で1番。彼が楽しそうならいいか……
とでもいうと思ったか!!……このいじわる坊め!!やり返してやる!
手を伸ばし、彼の両頬を両手で抓る。意外と頰っぺ柔らかい。
「い、いへっ!このやろー!」
「やろうやありやへん!!はなへー!!」
なんだか、凄く楽しかった。