第10章 正しき社会、幸せな社会
「俺、ニュースとか見たけどさ、ヒーロー殺し、敵連合とも繋がってたんだろ?」
「え、そうなの……?」
尾白くんのその言葉を聞いて、背筋が凍った。
敵連合って……私を利用しようとしている人達だ。死柄木さん……ていう名前ということしか知らない、顔も知らない人たち。
私……物凄く危険な橋を渡っていたの……?だから先生あんなに怒ってたんだ……。
でも、ステインさん、そんな感じには思えなかったけどな……。
「でもさぁ、確かに怖ぇけどさ、尾白、動画みた?」
「動画って、ヒーロー殺しの?」
動画……?
「そう。あれ見ると、一本義っつーか、執念っつーか、なんかカッコよくねぇ?とか、思っちゃわね?」
「上鳴くん!!」
「へっ?あっ、いっ、わりぃ!」
出久くんは天哉くんに気を使っているみたいだった。
でも電気くんの気持ち、わかるなぁ。私も直接話を聞いて、カッコイイと思ったから。
「いや、いいさ。俺は大丈夫だ。安藤くんにも言われたしな。」
「あっ」
天哉くんが私に目配せする。私、ちゃんと天哉くんの役に立てたんだと、誇らしく思う。
「確かに信念の男ではあった。クールだと思う人がいるのも、わかる。ただ奴は、信念の果てに粛清という手段をとった。どんな考えを持とうとも、そこだけは間違いなんだ。俺のようなものをこれ以上出さぬためにも、改めて、ヒーローへの道を俺は歩む!」
「おぉ、飯田くん!」
「さぁ!そろそろ始業だ!全員席につきたまえ!」
いつもの天哉くんだ!いつもの天哉くんに戻ってくれて、本当に嬉しい!
ステインさんの、粛清……という方法はやっぱり間違いだ。でも……。
少し気になったことがあり、電気くんのもとへ駆け寄る。
「あ、あの、電気くん。」
「ん?なんだ、安藤?」
「さっき言ってた動画…ってどんなのなの?」
「へ?」
「あっ、ごめんね、なんか気になっちゃって」
「安藤くん!!早く席につきたまえ!!」
「ぴゃあ!!」
「…じゃあまた、昼休みな!」
「うん!お願いします。」