第2章 プライド×劣等感
歩きながら、私は彼と話をした。
「あっ、あの、さっき教室で……。庇ってくれて、ありがとう。」
「あっ……」
なぜだかその言葉が、とっても嬉しくて。
嬉しくなって、目が熱くなって、涙が出そうになった。上を向いて、それを我慢する。
「ひよこちゃん?」
「う、ううん。…ありがとう……。」
「?…あんな風に言ってくれて、本当に嬉しかった…。」
ぶんぶんと顔をふり、笑顔を彼に向ける。
「あ、あのね、大好きなヒーローが言ってたの。自分の限界は、自分自身で決めるんだって、他人に限界を決めさせちゃダメなんだって。」
涙が零れてしまわぬように必死に言葉を紡ぐ。
そして思い出すのは、あの姿。
「そーなんだ…!そのヒーローって?だれだれ??僕、ヒーローのインタビューってほとんど知ってるはずなんだけど、それ聞いたこと無いや!!」
「それ凄いね!?それね、……インタビューじゃなくて、直接聞いたの。」
「えっ!喋ったことあるの!?誰なの!?」
「うーん……ナイショ。」
「えぇぇぇ!!」
「私も、そう思うんだ。」
出久くんには、夢を叶えて、幸せに、笑顔で、いつも笑顔でいて欲しいって、思うから。
あきらめないで、ほしい。出久くんは私のヒーローなんだから。
「……みんながヒーローになれる訳じゃないけど、でも、きっと、誰がヒーローになってもおかしくないんだよ。」
「そう、かな?」
「うん!私、ずっと応援するよ!」
「あっ、ありがとう!」
「絶対、応援しつづけるからね。だって…」
「だって?」
「う、ううん!な、なんでもなーい!」
だって、大好きだから。
こんなに頑張ってる彼見たら、応援せずにはいられないよ。