第10章 正しき社会、幸せな社会
意を決して轟くんに向かい合う。
「あと、あのっ!!と、とととと、と、轟くん!」
「どうした?」
「ひよこちゃん!?凄い汗だよ!」
「だ、大丈夫だわん!」
「わんだと!?」
「大変だ!全然大丈夫という言葉に説得力がないよ!」
緊張でうまく口が回らない。い、言わなきゃ!凄く、大切なこと!!
「と、ととと、と、友達に、なって、くれませんか?」
「!」
もしかして、自分から勇気をだして友達になってくださいと頼むのは、初めてかもしれない。
「ひよこちゃん…。成長したねぇ……。」
「緑谷くん!親目線か!」
それほど轟くんと、友達になりたい。
そう思ってじぃっと轟くんの目をみて言う。
「えっと、まず、轟くんのことずっと、物凄く怖い人だって思ってました!!ずっと偏見で見てて、ごめんなさい!!」
「おぉ…。」
まずは謝らないとだめだよね。怖いなんて思ってたけど、全然そんな人じゃなかった。優しくて、真っ直ぐな人だったもの。
「それで、えっと……体育祭、見ました。どんな事情なのかも、聞きました。」
「そうか……。」
「それで、轟くんのファンになったんです。」
「は?……ファン…?」