第9章 英雄の後ろ姿
「て、んや、くんは、大丈夫?」
「あぁ……。」
「良かった…」
「僕の勝手でこんなことになってしまった。本当にすまない。謝っても謝りきれな」
「ごめんな、さい……!ごめんなさい!私、弱くて…ごめんなさい天哉くん!丸田さん!ごめんなさい!あぁ、ぁああん、うぇえええん。」
「な、なぜ君があやまるんだ!?」
「こらひよこちゃん!今泣いちゃダメだよ!まだ水分足りてないんだから!!」
天哉くんは、凄く不思議そうな、困ったような顔をしていて、丸田さんはとてもオロオロしていた。
私がもっと強かったら、守れていたのに、助けられていたのに。天哉くんにこんな思いさせなかったのに。天哉くん、きっと、私が怪我したせいで、責任を重くかんじてしまう。ごめん、ごめんなさい。もっと上手く動けたはずで、そうしたらきっと、もっと怪我少なかったはずで。
もっと、強くて、カッコイイ個性だったらなぁ。人を守れる個性が欲しかったなぁ。
止めようとしても涙は止まらなくて、ボロボロと零れるばかりだった。