第9章 英雄の後ろ姿
目を覚ますと、真っ白の天井、点滴の袋、そして……。
「ま、まうた……はん…?」
「ひよこちゃん!お、起きた!起きました!わかる?ここは病院だよ?」
「びょ、いん…?」
丸田さんが看護師さんを呼んでいる。意識がだんだん鮮明になってきた。
「……て、んやくんは、あの、ひーおーさんは」
「大丈夫、大丈夫だったよ。」
「よかっ、た。」
大丈夫と聞いて安心し、また眠りそうになった時、
「安藤!」
「安藤くん!!」
「ひよこちゃん!!!」
「走らないで下さい!!」
「てん、や、くん!いずくくんも……と、とろろきくん…?」
天哉くんと出久くんと轟くんが走ってきた。未だ少しぼんやりした意識の中で、なんで轟くんがいるのか凄く不思議だった。
「ひよこ、ちゃん……!生きてる……!!本当に、良かった……!」
「お前、本当に1度生死をさまよったんだぞ。弱いくせに、無茶しやがって。」
出久くんが泣いてる。轟くんも、なんだか心配そうな顔をしていた。心配かけて、迷惑かけて、ごめんね。ごめん。ごめんなさい。