第9章 英雄の後ろ姿
……って言うかこれ、対話……じゃないよね……。一方的に喋っているような……。理解、出来てるの?
これじゃ、ダメだ。
「そうか。お前は変わったやつだな。俺の思想を理解しようと動くとは。……人はこのくらいやらないと動かない。社会は変わらない。」
「……社会、は……。」
その言葉を噛みくだく暇もなく、彼は動いた。
大きな刃物でステインさんが襲ってくる。
懸命に刃物を避けると今度は蹴り。トゲトゲのある所は回避したけどなんか普通に蹴られて吹っ飛ばされた。
「かはっ!!」
怖い、痛い。
ハッと見てみるとステインさんが天哉くんに刃物を向けている。
私は、狙われてない?邪魔だったから蹴られただけ?
じゃあ天哉くんを、守らなきゃ。へばってなんていられない。
「やめて!!」
ステインさんの方に突っ込む。刃物が飛んできたように見えたと思ったとたん、頭が切れた。頭が熱い。血が出てる。
ちゃんと避けたはずなのに、教えてもらったとおり、頑張ったのに。痛い。怖い。熱い。痛い。でも、動かないと。
頭の血を拭いながら声を出す。
「天哉くんの前に、私です!!」
「……お前のような子供に、俺の何が分かる。お前もニセモノか?」
「ニセモノ上等です!!」