第9章 英雄の後ろ姿
ステインさんは、何も言ってこない。黙ってしまった。
でも、ごめんなさい。もうひとつ、言いたいことがあるんだ。
雄英高校で初めてできた友達。天哉くんのこと。
雄英高校に入って、どうなってしまうのか凄く不安だった時、真っ先に声をかけてくれた。それにどれだけ救われたか。彼がどれだけ優しいのか。
それだけは、分かって欲しい。
「それから、その………天哉くんは……すごい人なんです。強くて、誰にでも優しくて、カッコイイんですよ。私に、私なんかにも声をかけてくれたんです。それが、どれだけ嬉しかったか。それに、どれだけ救われたか。だから……えっと、いい人なんです。それだけは、分かってください。」
ステインさんにじいっと目線を向けながら思いの丈をぶちまけた。
天哉くんは、ずっとずっと頑張ってたもん。ステインさんにどうこう言われる筋合いなんてない!私の方がいっぱい見てるもん!私の方が知ってるもん!