第9章 英雄の後ろ姿
「………こいつは自分のためだけに行動しているが、そんなのはヒーローに有るまじき行為だ。正しき社会のためにこいつは邪魔だ。ヒーローとは、見返りを求めず、常に人のために動くべきだろう。普段お前らがヒーローと呼んでいるものは、本物のヒーローではない。」
「ふむ……。なるほど。」
本当のヒーローとは……なんなのか。
今は、資格や免許をもち、事務所で働けば、ヒーローってみなされている。
それは、違うだろ。
ヒーローって言うのは、もっとこう、心意気とかそういう、概念的なものなんじゃないのか?人の為に己を犠牲にする姿そのものがヒーローなんじゃないのか?
自分のために動くとか、こんなふうに形式的なものじゃ、ヒーローなんかじゃない!そんなのニセモノだ!!
って、こと、いいたいんだよね。多分……。
この人……凄い。こんなに強い一つの信念を持った人は、初めて見た。不謹慎かもしれないけど……その真っ直ぐな姿は、信念を貫く姿は……凄く、かっこいい。そう思ってしまった。
でも……。
それでできる社会が、本当に、正しい社会なの……?こんなふうに人を苦しめて悲しませながらつくる社会が……本当に正しい社会なの?
きっと違う。