第9章 英雄の後ろ姿
「あっ、ご、ごめんなさい。変なこと、言って。」
当たり前のこと、聞いちゃったかなとちょっと後悔し、下を向く。
「……うん。それもあるね。」
「……そう、ですよね……。」
予選敗退の奴がなに期待してんだ。って話だよね。丸田さんは本当に優しいなぁ。
「大事な友人が大事にしていた大事な大事な娘さんだ。気にしないわけないでしょう。」
「…あり…がとう……ございます。」
「それだけじゃないよ。」
「?」
「僕の個性、知ってる?」
「……しら、ないです。」
確か丸田さんは、ヒーローとして活動してなくて……事務所の経営などで主に活動してる、はず。個性、言われてみれば知らないかも。
「人の性格や感情を目で見ることが出来るんだ!!」
「!素敵な個性ですね!あっ……えっと、それで?」
「そうでしょ!体育祭、見てたんだ。主に生徒達の性格をね。いい子達ばっかりだったねぇ。優勝した彼は酷く扱いにくそうだったし、エンデヴァーさんの息子さんは、決勝までと決勝後、なんだか少し、違って見えた。ソバカスでモサモサした頭の彼はとっても優しい性格だったね。」
「やっぱり、凄いんですね、その個性。」
「みんなみんな、いい子だったよ。でもね、その中でね、君が一番、優しかったんだよ。」