第8章 〈番外編〉ヒヨコをプロデュース
「鋭児郎くんの個性は、強くって、皆を守れて、かっこよくって、優しいよ!!」
「っ……。」
初めて、こんなふうに個性を褒めてもらった。それを言ってくれているのが、真っ赤な顔をして、絶対に嘘をつけないであろうこいつだからこそなのか。それが、嬉しくて嬉しくてたまらなくて、胸の奥からなにか熱いものがこみ上げてきた。
「個性だけじゃないよ。鋭児郎くん、いつもみんなを鼓舞してくれて、明るくて、誰にでも声をかけて、誰にでも優しいし、この前、全く知らない人に教科書貸してあげてたし、私がため息ついてたら声を掛けてくれたんだもん。すっごい人だよ!!…悩み、なんでも言ってほしい!嬉しいよ!話してくれると。ちゃんと友達になれたみたいで!カッコ悪くないよ!…えっと、えっと、言葉、まとまらないや……言いたい事、伝えたいこと、沢山あるのに。」
安藤は、照れ笑いを浮かべながらそう言う。
初めてこんなに褒め殺され、少し呆然とした。
「よく、見てんだな。」
「…うん。私、変わりたいから、強くなりたいから。みんなをずっと見てた。強くてかっこいいみんなを見てたら、なにか得られるかなぁって……。お陰でみんなを、もっと好きになった…。」
恥ずかしそうに下を向くこいつは、やっぱり真っ直ぐで、ひたむきで。愛おしくて。
そして勢いよくバッとこちらを向くと、
「だっ、だからね!ちゃんと見てるよ!!鋭児郎くんのこと。私は、大好きだよ!!」
と、大きな声で言い放った。