第8章 〈番外編〉ヒヨコをプロデュース
「えっ……鋭児郎くん!ちょっと待って!!」
「ん?」
俺らは話をしながらゆっくり歩いでいた。だんだん安藤の口数が少なくなったと思ったら、いきなり大きな声を出した。
「わ、わたし……あの!!えっと、あのあのあの、」
「まてまてまて!一旦落ち着け!」
安藤は、真っ赤な顔で必死に言葉を紡ごうとしている。どうすればいいかわからず、一旦近くの公園に連れていき、ベンチに座らせて落ち着かせた。
「え、え、えいじ、ろ、くん」
「ん?どうした?」
「あ、あのね!私……助けてもらってばっかり、でしょ?こんなんじゃ、いけないよ!!わたしの、人としての、価値が!寄生虫になりそうで!!」
「???」
「……なにか!私にできること、鋭児郎くんが困ってることがあったら、私、何でも………えっと、お返ししたいの!鋭児郎くんの、力になりたい!!」
「へ?」
「なにか!困ってることは無いかな!力になれること、無いかな!」
安藤は、俺の目をじっと見つめたまま、真っ赤な顔で言った。