第7章 敗けて勝ってその後で
「俺も、普さんにはお世話になったから。」
「あ……」
先生は、懐かしそうな声で言った。もう一度相澤先生を見上げる。
「まぁ、あの人には感謝してるよ。」
先生は目を伏せて、何処か寂しそうにしている。覚えてて、くれているんだ…。
「あっ……指名きてた事務所、お父さんの、事務所でした。私のこと知ってたんですかね。」
その話は……あまり聞きたくなくて、私は何かを誤魔化すかのように早口で報告した。丸田さんが私のことを気にかけていることくらい、知っている。
「あの人たちが知ってないわけ無いだろ。」
「あは、ですよね。え、えっと、なんで選んでくれたんでしょうね。ど、同情、してくれたんでしょうかね!あ、あまりにも…惨めだから……。」
「さぁな。」
「やっぱり……わたしは、除籍ですか?」
口が勝手に動いて、そして紡いだ言葉がこれだなんて……はぁ。
下を向き、質問する。先生の目が見れない。
「……指名来たやつを除籍にするか。」
「へっ?」