第7章 敗けて勝ってその後で
みんなどんどん名前を発表していく。つゆちゃんはフロッピーだって!お茶子ちゃんはウラビティ!かわいい!!
私もそんなのがいいなぁ。
私のヒーロー名。私が目指すもの。
『私の可愛い可愛いひよこちゃん。大丈夫よ。一緒にいてあげるから。』
『ひよこ!いつでも守ってあげる。だからほら、泣かなくていいよ。』
きゅきゅきゅーっと書き込む。うーん、どうしよう。きゅきゅきゅー……
よし!これだ!
「じゃあ、次の人ー!」
「は、いっ」
「はい、安藤さん!」
人生で、片手で数えられるほどしか挙げたことのない右手をぎこちなく挙げ、てってけてーっと前へ駆けていく。
「えっと、優しくて、あったかくて、柔らかい感じのヒーロー……人になりたいので、」
ダンっとボードを出す。
「あ、アマネ!……です。」
「あら?……誰かの名前、かしら?」
「この名前は、わたしの……。じゃなくて、普くで、その……普く、で、すべて、だから、すべての人に優しくって、いうことで…」
言っていて恥ずかしくなってきた。顔が下からだんだんあかくなっていき、下を向いた。
「……うん、わかった。素敵な名前ね。」
「あ、ありがとうございます。」