第7章 敗けて勝ってその後で
「ううん。どんなに苦しくてもあきらめない姿、超カッコよかったよ。」
出久は、いつものように、真っ直ぐ私を見て言ってくれた。
そんな、私、A組唯一の予選敗退者なんだよ?廊下で大泣きしたんだよ?閉会式終わるまで爆睡しちゃったんだよ?
何も出来なかったという悔しい気持ち。みんなの隣には立てなかったと悟り悲しい気持ち。自分への情けないという気持ち。
出久くんがカッコイイと言ってくれた、嬉しい気持ち。
色々な気持ちが重なって、涙が溢れて止まらなかった。
「あ、…なんでっく、ごめ、ひっく、」
「ひ、ひよこちゃ、あ、えっと……!」
ほらもう。泣いちゃったから出久くん困ってる。さっき散々泣いたでしょ?どんだけ泣き虫なんだよ……。
はやく涙、とまってよ。
「ご、ごめん、すぐにとめ…」
そう言おうとした時突然、暖かいなにかに包まれた。