第7章 敗けて勝ってその後で
なんで彼がいるんだろう。待っていてくれたのかな?いつもだったらすっごく嬉しい事なのに、今は全く嬉しくない。むしろ、嫌だ。
「ひよこちゃん…。」
「…お、おつかれさま…出久くん。」
今私の目の前に立っている彼は酷くボロボロだった。
きっと、体育祭で大活躍したんだよね。きっとすっごくかっこよかったんだろうなぁ。
「ひよこちゃんこそ。」
「わ……私は、何も…出来なかった……から。」
出久くんはきっと今、私の方をちゃんと見て話してくれているんだろう。でも、私は、彼の目を見ることは出来なかった。
「そんなことないよ!」
彼はいきなり大きな声を出した。私は驚いて顔をあげる。
「ひよこちゃん、すっごく頑張ってた!すっごくカッコよかったよ!!」
なんで、彼はいつもこう、優しいんだろう。
だんだん、彼が滲んで見えなくなってくる。
「うそだ…!!私すっごくすっごくカッコ悪かった…!ひっく、ボロボロになって、ひっく、みんなにとっては、大したことじゃないのに、ひっく」
また泣いてしまった。恥ずかしい。