第7章 敗けて勝ってその後で
「し…つれいしました…。」
呆然としたまま救護室を後にする。
いろんな感情が溢れすぎて、もうなにも考えられなかった。
せめて誰にも会わないで帰りたかった。
だって、会ったら恥ずかしくて、どんな顔をすればいいのか分からなくて。
荷物を教室へ取りに行ったが、誰もいなくて、とても静かだった。
祭りが終わった後というのはいつも静かだ。
いつもなら寂しく感じて嫌だけど、今日はその静かさがありがたかった。
帰ろう。
でも……
どうするかも分からなくて、帰りたくないその道を、とぼとぼと進む。
家に帰ったらなんて言おう。ただいまって言って……それから……。
いつもは大好きなあの家に、今は、帰りたくないなんて。
歩いていると、誰かの気配を感じた。
ふっと前を向くと、
今いちばん会いたくない人、出久くんが前に居た。