第2章 精神科医:黒尾鉄朗
「羽音っ…」
やっと黒尾の口から彼女の名前が紡がれた。
中で蠢いていた指は抜き去られ、代わりに大きくなった彼自身が宛がわれる。
「俺も、お前の事が好きだ」
その言葉と同時に、黒尾が羽音のナカへと入り込む。
羽音の秘所がギュッとカレを締め付けて呑み込んでいった。
彼からの刺激と言葉が大きすぎて強すぎて、頭も体もついていかない…羽音はそんな気持ちになっていた。
繰り返される抽出の動作に快感を得ながら、彼からの愛の言葉を受け入れる。
「黒尾センセッ……嘘…」
「嘘じゃねぇよ」
繋がった身体はどんどん絶頂へと昇り詰めていく。
黒尾のその言葉を聞いて、早まる鼓動と律動に羽音は快楽の頂上へと到達した。
ぐったりとした体を抱きかかえた黒尾は、彼女をしっかりと抱きしめる。
「1回で、こんなになっちゃう?」
「黒尾先生、激し過ぎます」
「嫌いになった?」
「なりません」
まだ整わない呼吸で彼にしっかりとしがみついた羽音は、もう一度彼の言葉を確認した。
「黒尾先生…さっきの話」
「んっ?」
いつもの惚けた表情で羽音を見下ろす黒尾。
「俺、ずっとお前に伝えてたつもりだったんだけど…伝わってなかったって事だろ?」
黒尾が言うには、今までこういった行為をした際に愛を伝えていたつもりだったと言うのであるが、まったくもって羽音には伝わっていなかったという話だ。
お互いの片思いが成就された今、そんな話はどうでもよい。
羽音は黒尾の大きな胸に抱きしめられて幸せを噛み締めた。
「黒尾先生、スクラブ似合いますね」
V字の胸元に手を差し伸べて、彼の服装を褒める。
「かっこいい?もう一回したくなった?」
「馬鹿ですか?」
生意気な口は塞いでやるぞと言わんばかりに黒尾は再び彼女の口を塞いだ。
「黒尾~!!!!」
ノックも無しに入ってきたのは、木兎光太郎、院内屈指の心臓血管外科医である。
「……ってめぇ木兎っ!」
「ごっごめっって、あれ?彼女じゃないって言ってたじゃん!」
イイところに割って入ってきた木兎に怒りをぶつける黒尾と状況のつかめていない木兎に微笑みかける羽音。
今日は、このままお開きになるようです…。