【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第2章 burn
どうも気恥しくて、家康の名前を伏せて小声で話し始めると。
三成くんはふんふん、と時折小さな相槌を打ちながら聞いてくれる。
香を贈ると言う事は、周りに自分の物だと知らしめるため。
そして、自分の事を相手にずっと考えさせる為なのだ、と言われた…と言うより、言った事を話す。
「でね、別れ際に…
次に此処に来る時は、この香が着物に移る覚悟で来なさい、なんて言うの」
「…それはそれは…その方は、随分と情熱的な方なのですね」
情熱的、という言葉には似つかわしくなくて、首を傾げてしまう。
三成くんは、じっと何かを考えている様子だ。
「その方に、千花様は悩まされているという訳ですね」
「うぅ…そうなの、恥ずかしながら」
「…少し、妬けますね」
「え?三成くん、なんて?」
一段と潜められた一言が聞こえなくて、聞き返してみると。
何でもありませんよ――と、三成くんはいつも通り、爽やかな笑顔を浮かべた。
そして、また口を開く。
「千花様らしく、無いのではないですか?」
「…え、どういう、こと?」
「だって、千花様はいつも分からない言葉や作法があれば、すぐに私共に尋ねてきて下さるでしょう?
こうやって自分だけで抱え込むなんて、なさらないではありませんか」