【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第8章 LA ROUE DE LA FORTUNE
「…そう、なら、良かった。
家康が迎えに来てくれて、嬉しい…ずっと、会いたかったから」
無事にまた逢えた喜びを、この胸の高鳴りを、余す所なく伝えたくて、家康の胸に額を付け身を寄せる。
とくとくと家康の心臓の音が響く、そんな事にも嬉しくなり、目を閉じた。
「あの人達と話をしてね、気付いたの…
私が知っているのは、物事のほんの一部だって」
「それは…俺も、そうだろうね」
「そうなの、でも、二人でいれば、見れる事、知れる事、増えるでしょ?
だから私は、この世で生きていくと決めたからには、家康が出来ないことを補ってあげたい」
人を傷付けたり、ましてや殺めたりなんて、性にあわない。
自分の出来ることを探したい──家康が思い描く、理想を叶えるために。
「それが私の覚悟なの…
つまりはね、私、家康の事がす、む、んっ…!?」
好き、と言いかけた言葉はいつかの様に、途中で押し留められた。
ただし今回は、掌では無く、家康の唇で──触れただけの口付けはすぐに離れていく。
目を見開いたまま固まる私を見て、家康は何処か楽しげに、しかし凄く優しく、目を細めた。