【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第7章 Folie Douce
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「腑抜けが、己を取り戻したか」
信長はそう言うと、広間を後にした。
残っていた政宗と光秀も、それに続く。
「信長様、飯の支度をして良いでしょうか。
彼奴等が腹を空かせて帰ってきては忍びない」
「では、俺もそれ迄待つ。存分にその腕を奮うが良い」
政宗が厨に向かう背を見送り、光秀が口を開く。
「随分と、貧乏くじを引かれたのですね」
「…俺は、そうは思って居らんぞ」
「ほう、それは如何に?」
「あの女、俺をまことの友だと宣いおった」
ふ、と微笑む信長の優しげな表情に、光秀は目を伏せる。
笑顔の奥に見て取れた少しの憐憫に、気付かない振りをして。
「友と、義弟が連れ合いなど。面白きことこの上ない」
「…まこと、その通りですな」
次に光秀が見た信長の表情は、強い覚悟に満ちた弟分の成長への、喜びに溢れていた。