第3章 初体験
「やぁ…恥ずかしい……。
せめて、自分で脱ぐから…」
「そうか?」
「だから…後ろ向いてて…?」
「あぁ、分かった」
「絶対見ちゃダメだからね?」
「見ないよ」
征十郎くんが後ろを向いたのを確認すると、わたしも背中を向け衣服に手を掛ける。
柄にもなく緊張する…。
服に掛けた手が少し震える。
やっとの思いで衣類を脱ぎ終えると、未だ背中を向けたままでいてくれる征十郎くんに後ろから抱き着く。
「千春、脱げたか?」
「うん…」
「では…」
「征十郎くんは脱がないの…?」
「俺?」
「1人だけ脱ぐの、恥ずかしい…」
「分かった。
千春が望むなら俺も脱ごう」
そのまま自分の服に手を掛け脱ぎ始めたので、慌てて後ろを向く千春。
シュル…という布の擦れる音がし、より強く目を瞑る。
「そんなに緊張しなくても良いのに」
後ろからフワリと抱きしめられる。
ビクリ、と肩が跳ねてしまった。
「素肌で密着するのも悪くない。
むしろ素肌の方がより千春の温かさを感じられて好きだな」
「もう、征十郎くんたら…」
「恥ずかしそうに頬を染めるのも好きだ」
「わ、わたしだって…優しい征十郎くんが、好き、ですよ…?」
「知っているよ」
ニコッと微笑み、キスをした。
そして再びベッドに優しく寝かせる。
「安心して。
緊張しなくて良いよ、千春。
怖かったら俺にしがみついてごらん?」
「うん」
両手を伸ばすと、その手を自分の首元に持って行ってくれた。
そのまましがみつき、より肌を密着させる。