第2章 お誘い
部活終了後。
家が近くにあるわたし達は、皆と校門で別れ、帰路につく。
「じゃーね〜、赤ちん、千春ちん」
「またね、赤司くん、千春ちゃん!」
「また明日です、赤司くん、池ヶ谷さん」
「またな、赤司、千春」
「ばいばいっスよ〜、赤司っち、千春っち!」
「気をつけて帰るのだよ、赤司、池ヶ谷」
「あぁ、ありがとう。
また明日」
「じゃあ、また明日ね」
「千春」
「どうしたの?」
「…今日、家に来ないか?」
「今日?」
「……誰も…居ないんだ」
「ん、行く」
赤司くんの誘いだもん、断る訳ないじゃない。
赤司くんの後ろを歩き、お家にお邪魔する。
大きいから、いつ来ても緊張するなぁ。
誰も居ないとはいえ。
「お邪魔します」
「あぁ。
じゃあ俺の部屋に行こう。
場所は覚えたと思うけど、俺に着いておいで。千春」
「!うん」
スッと差し出された右手を取る。
重なった右手の指を赤司くんに絡めると、優しく微笑んで握り直してくれた。
嬉しい…。
「さぁ、着いたよ」
「ありがとう」
「飲み物か何か要るかい?」
「ううん、大丈夫」
「そうか、分かった。
適当に腰を下ろしてくれ」
「うん」
適当にと言われても、やはり難しいもので…。
ベッド近くの床に座る。
「まったく千春は…。
そんなところに座ってないで、ここにおいで?」
ポンポン、とベッドに座る赤司くんの隣を軽く叩く。
「ありがとう、赤司くん」
「それで?
千春は何を怒っていたんだ?」
「え?わっ…」
腕を引かれ、赤司くんの膝の上に座らされる。
「あ、赤司くん!」
「ん?」
「ん?、じゃなくて!
重いよ!」
「全然」
「うぅ…」
「嫌なのか…?」
「嫌じゃない…恥ずかしいだけ」
「そうか、良かった。
それでさっきの答えは?」
「べ、別に怒ってないよ」
「本当か?
目が少し怖かったぞ」
「え……ごめんなさい…」
「謝る必要はない。
理由を、話してくれないか?
話してくれないと俺も不安になる…」
「えと………ただの…焼きもち…なの。
ごめんなさい」
「そうか。
俺に怒っていた訳ではないんだな、良かった」