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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第6章 答え




エミリは、言葉が出なかった。


布に包まれているそれは、死んだ兵士のものだ。

全身残ったもの。腕や足、頭など体の部位が無いものもあれば、逆に一部しかないもの。上半身、又は下半身だけが巨人に噛みちぎられているもの……。

とても無残な姿だった。

そしてその中には、エミリ達の同期も数名いた。調査兵団に入ってから世話になった上官や先輩もいた。

"あの日"と同じようで違う残酷な光景に、エミリはただ黙々と遺体の回収を続けていた。

ペトラは涙を流し嗚咽を漏らしながら、オルオは目に涙を溜めながら、フィデリオは苦い表情で手を動かしていた。




壁内に帰還した頃には、空が茜色に染まり始めていた。

今は、空を見る気にはなれなかった。あの夕焼けの橙は、色が赤に似ている。死んでいった兵士達の血を連想させるから。



耳を塞ぎたかった。

壁へ戻って待っていたのは、民衆からの罵声。
心無い冷たい言葉に、唇を噛み締める。

何故、戦う勇気も無い者にそんなことを言われなくてはならないのか。悔しくて仕方が無かった。

壁の外に出なければ安全。
そんな言葉はもう廃れた。二年前、超大型巨人と鎧の巨人が壁を壊し、人々を地獄の世界へ誘った。

また、いつ同じ事が起きるかも分からない。
一刻も早く、巨人についての情報を集めなければならない。その為に、調査兵団は命を懸けて壁外へ出ているというのに、何故、こんな扱いをされなくてはならないのか。


エミリは顔を俯かせ、拳を握り締めながら歩いていた。
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