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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第17章 未練


リヴァイの行動の意味がわからない。答えを教えてほしくて、言葉と視線でそれを訴える。

何秒経ったのだろうか。お互いの視線が絡み合ってから、とても時間が経ったように感じる。

エミリの質問に対して何も答えず、黙ったままのリヴァイは無表情で、何を考えているのかもわからない。


「あの、リヴァイ兵長……」


ずっと無言を貫くリヴァイに痺れを切らしたエミリが、控えめな声で彼の名を呼んだ。

その直後、自分の顔の横に置かれるリヴァイの片手。
何をされているのか分からず、現状を認識するのに数秒程掛かった。


「あの、兵長……」


目の前にはリヴァイの顔、後ろは本棚があるせいで身動きが取れない。
板挟み状態で、どうしてこんなことをされているのか訳が分からなかった。


「……エミリ。お前、本当にわからねぇか?」

「え」

「俺が何故、お前を気にかけているのか」


質問を質問で返され、どう答えていいのか解答に戸惑う。

体が密着しそうな程に近い距離。このままではキスまでしてしまうのではないだろうか……そんなおかしな不安が生まれる。

ドキンと高鳴る胸の音。心拍数が上がるのを感じながら、エミリは掠れた声で答えた。


「…………わか、りません……」


本当にわからない。

何故、リヴァイがこんなにも気にかけてくれるのかも。
何故、こんなことをするのかも。


「……そうか。なら、まだ知る必要はねぇ」


目の前から遠ざかっていく熱に、エミリは軽く安堵した。それでもまだ体の熱は収まらない。
それを悟られぬよう、顔を下に向けながら声を発する。


「あの、それってどういうことですか……?」

「教えるか馬鹿。自分で考えろ」

「そ、そんな……」


結局、何も教えてくれなかったリヴァイの顔を不満げに見つめた。

けれど、そこで一つ気づいたことがある。さっきまで心の中に渦巻いていた蟠りが無くなっていたことに。


「疲れたんならさっさと寝ろ。いつまでもこんなもん抱えてんじゃねぇ」

「あっ」


エミリの手から本を取り上げ、それを元に戻したリヴァイはそのまま書庫を出て行こうとする。
慌てて彼を追ったエミリは、その背中に向けて言った。


(兵長、ありがとうございます)


とびきりの感謝を込めて……────
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