Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人
第13章 勉強
エミリは、最強の名を背負うあの兵士長の安らぎそのもの。
リヴァイがこれからも最強でいるために、更に強くなってもらうためには、彼女の存在は必要不可欠。
だから、生きていてもらわなければならない。
そう簡単に死なれては困るのだ。
けれど、直情型な性質のエミリは誰かのためなら己を顧みないような、かなり危険な人物だ。
下手をすればこの薬剤師試験を合格するために、睡眠時間を削ってまで勉強するかもしれない。
そうなってしまっては訓練に支障だって出てしまう。そして、充分な鍛錬を積まずに調査に出て命を落とされては敵わない。
(君に死なれては困るんだ……)
だから、兵団のために……自分の夢のために、エミリに協力する。
彼女の存在と力は、これからとても重要なものとなるから。
リヴァイはまだ彼女に対する気持ちに気づいてはいないが、もうそろそろ気づく頃だろうと踏んでいる。
そして、その時が来たら、彼にとってのエミリの存在は、絶対に失う訳にはいかない大きな光となるだろう。
「エルヴィン団長、ここが分からないんですけど……」
「ああ、これは……」
近い将来、エミリは知らぬ間に人類から重要な役割を任されることとなる。
人類の希望を支えるための大きな役割が。
エミリがそれに気づくのはいつになるだろうか。
それに気づいた時、エミリはどんな行動に出るのだろうか。
そして、これから彼女にとってリヴァイはどういう存在になるのだろうか。
リヴァイとエミリ、二人の未来はどんなものになっているのだろうか。それを見てみたい。
それは、エルヴィンの一つの楽しみとなった。