第1章 シガンシナ区陥落
『ふぅ・・・』
2人の姿が見えなくなったわたしは小さくため息をついた。
『調査兵団か・・・。』
エレンの気持ちもわかる。
一生このまま壁の中なんてと思う反面、巨人なんかと戦えるわけがないと後ずさりしてしまう感覚もある。
『このまま平和に暮らせたらいいんだけど』
わたしは重い足を家路へと向け歩き出した。
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「あれエルフィ?」
母のカレンは私を見つけるなり笑顔で「おかえり」と言った。
「今日はお父さんが帰ってくる日だねぇ。
お父さんの大好きなスープ用意したんだよ、先に食べるかい?」
『ただいま、母さん。んーん、父さんを待ってるよ』
「さぁ、いつ帰ってくるかね。今回は何か成果を得られたのかなぁ?」
・・・そう、わたしの父は調査兵団の兵士だ。
父はわたしが生まれるずっと前から調査兵団として心臓を捧げてきた。
母やわたしはその背中をいつも不安げに後ろから見てきている。
「あ、エルフィ。母さんちょっと買い忘れたものがあるからちょっと行ってくるよ。
お腹がすいたら先に食べてていいからね」
『わかったよ、母さん。
行ってらっしゃい。』
その言葉が最後になるなんて思いもせず。