第6章 雨の降る日に
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・・・こいつは本当に。
お風呂から帰ってきた俺は椅子に座って気持ちよさそうに眠っているエルフィを見た。
「風邪ひくって言っただろ・・・」
俺はブランケットをかけた。
『わたしには・・・誰が敵なのかもうわかりません・・・』
そう言いながら涙を流したエルフィのことを俺は不覚にも綺麗だと思ってしまった。
「・・・俺にもよくわからん」
こいつにとっては・・・
仲間だと思ってた奴らが本当は人類を滅亡させようとしてる奴だったなんて残酷なことだろう。
泣いていたエルフィになんと声をかけていいのかもわからず
気づいた時には・・・抱きしめていた。
ドックドクと規則正しくリズムを刻む心臓はやけに煩かった。
・・・雨の音でかき消してくれてればいいが。
抱きしめた瞬間、こいつのことを俺だけのものにしたいと本気で願ってしまった。
・・・本当に俺らしくない。
明日は早い。トロスト区へ帰らなくてはいけない。
・・・ハンジたちは無事だろうか。
エレンは暴走してないだろうか。
俺は深く息を吸いこみ吐くとそっとエルフィを抱き上げた。
・・・エルフィの悲しむ顔はもう見たくない。
エルフィをベッドに寝かせてそっと頬にキスを落とす。
「・・・おやすみ」
俺は椅子に座るとそっと目を閉じた。