第1章 シガンシナ区陥落
すると肩を震わせながらエレンは言い放った。
「そんなんでいざって時に戦えるのかよ?!?!」
「お?いざって時って?なんだ?「決まってんだろ!!!奴らが壁を壊して街に入ってきた時だよ!!!!」
「あぁ、いてぇ・・・おいエレン。急に大声出すなよ」
すると前で談笑していた駐屯兵団の兵士の1人がこちらに笑いながら歩いてきた。
「はっは!!!元気がいいなぁ、医者のせがれ。
奴らが壁を壊すことがあったらそりゃしっかりやるさ。
しかしな?そんなこと100年間で一度もないんだぜ?」
「で、でも・・・そうやって一番安心してる時が一番危ないって父さんが言ってたんだ!!!!」
声を震わせながらエレンは言う。
「イエガー先生かぁ・・・
まぁ確かにな。
前に先生がはやり病からこの街を救ってくれた。
先生には頭があがらねぇ。
でもな?それと奴らは別だよ。
兵士になれば壁の補強とかで外をうろつく奴らを見かける機会があるんだが・・・
奴らにこの50mの壁をどうこうできるとは思えねえんだ。」
「じゃ、じゃあそもそも奴らと戦う覚悟なんてねぇんだな?」
「ねぇなあ。」
ハンネスさんは言い切った。
あまりにもあっけない言い方で肩を落とす。
「な、なんだよ!!!もう駐屯兵団なんて名乗るのやめて壁工事団にでもしろよ!」
エレンは叫ぶ。
わたしはミカサと目を合わせると肩をすくめた。
「それも悪くねぇ。
しかしな?エレン。
兵士が活躍するっていうことはそれこそ最悪の時だ。
俺たちが役立たずのただ飯食らいだって馬鹿にされてる時の方がみんなは平和に暮らせるんだぞ~」
ハンネスさんの言ってることにも一理ある。
だけど・・・
「一生・・・壁の中から出られなくても・・・
飯食って寝てりゃ生きていけるよ・・・
でも・・・それじゃまるで・・・
まるで・・・家畜じゃないか・・・」
エレンは拳を握り締めながら絞り出すかのように声を出した。
・・・その通りだった。