第5章 ストヘス区急襲
「護衛班!!様子を見てこい!!!」
わたしは今バレないようウォールシーナまで立体起動で飛んできている。
この立体起動装置を届けること。
これが今回のわたしの使命だ。
「ナイル、今すぐ全兵を派兵しろ」
エルヴィン団長の声だ。
リヴァイ兵長もいる。
「巨人が出現したと考えるべきだ」
「・・・何を言ってる?!ここはウォールシーナだぞ?!
巨人など現れるわけがない」
すると奥にあった馬車からエレンの姿に変装していたジャンが降りてきた。
「団長!俺も行きます!!!」
「装備は待機しているエルフィから受け取れ」
「了解!!」
「・・・威勢がいいのはいいが死なねえ工夫は忘れるなよ」
一昨日の晩のリヴァイ兵長とのやり取りを思いだす。
思わず心が温かくなった。
・・・首を横に振る。
今は作戦遂行中・・・こんなこと考えている場合じゃない。
わたしはジャンに立体起動装置を渡すためアンカーを飛ばした。
『ジャン!!!これ、立体起動装置』
「エルフィ!ありがとう。
・・・エレンの方の様子は?」
『わからない、わたしは今回近づくことさえ禁止されていて・・・』
「そうだったな。確かにその腕では交戦しない方がいい。
腕は大丈夫か?」
『えぇ、なんとか。ありがとう、心配してくれて。』
するとジャンは目を見開き視線を逸らした。
『・・・・?ジャン・・・?』
「・・・お前・・・なんでもない。
と、とにかくお前はエルヴィン団長のところへ戻れ。
その立体機動装置渡すんだろ?」
『うん、そろそろ行きます。
ジャン、ご武運を。』
わたしはジャンに敬礼をするとアンカーを飛ばした。
「・・・あいつの笑顔は・・・っずるい」
そんなことを呟いてるとも知らずに。