第3章 第57回壁外調査
『あいつが来た方向から・・・?
まさか、あいつが巨人を率いてきた・・・?』
「あいつ・・・?
なんであんなとこに巨人がいるんだよ?!
奇行種か?!」
『いや、あいつは・・・巨人の体を纏った人間。
エレンと同じことができる人間』
「なんだって!?」
「エルフィなんでそう思った?」
ライナーは落ち着いた声で問いかけてきた。
『巨人は人を食べることしかしない。
その過程で死なせるのであって殺す行為自体が目的じゃない。
でも、あいつは急所を狙われた途端にシスさんを握り潰しネスさんを叩きつけた。
食べるためじゃなく殺すために殺したんだよ。
他の巨人とはその本質が違う。
超大型や鎧の巨人が壁を破壊した時に大勢の巨人を引き連れてきたのはきっと、あいつ。
目的は一貫して人類への攻撃?
いや、誰かを探してるんじゃないかって気がする。
もし、そうだとしたら探しているのは
もしかして・・・エレン?』
「エレンだと?エレンがいるリヴァイ班はあいつが来た右翼側を担当しているはずだが?」
「右翼側?俺の作戦企画書では左翼後方辺りになってたぞ?」
『わたしの企画書には右翼前方辺りにいるって記されてたけど・・・』
わたしは朝のハンジ分隊長の言葉を思い出す。
『五列中央・・・』
「エルフィ今は考え事をしてる暇ねーぞ。
この距離ならあいつの気を引けるかもしれねぇ。
俺たちで撤退の時間稼ぎくらいはできる・・・かもしれねぇ。」
『あいつには本当に知性がある。
わたしたちは文字通り虫けら扱い
叩かれるだけで潰されちゃうよ?』
「まじかよ、そりゃおっかねぇな。」
「お前、本当にジャンなのか?
俺の知るジャンは自分のことしか考えてない男のはずだ」
「失礼だな、おい。
俺はただ、誰のものとも知れねえ骨の燃えカスに
がっかりされたくないだけだ。
俺には今すべきことがわかるんだよ!
そして、これが俺たちの選んだ仕事だ!
力を貸せ!」
ジャンはそう力強く叫んだ。