第3章 第57回壁外調査
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わたしたち調査兵団は正面の門の前にいる。
「・・・これが長距離索敵陣形だ。」
目を瞑るとつい昨日まで受けていた座学を思い出す。
「従来とは違い各隊が分散して配置されている。
その最大の目的は索敵能力の強化だ。
確実に前後左右が見える距離で等間隔に兵を展開。
最大限に索敵・伝達範囲を確保しつつ前進する。」
「巨人の位置を全体で共有することにより可能な限り接触を避けるものだ。
主な伝達に用いるのはこの信煙弾。
発射される煙の色で状況を判断する。」
調査兵団に入団してからの約1か月間
頭に叩き込んだものだ。
「い、いよいよだな・・・」
ジャンは声を震わせながらそうつぶやいた。
そしてわたしたち調査兵団は巨人の秘密があるとされる
シガンシナ区へのルートの模索の為カラネス区を出発する。
あれからというもの わたしはリヴァイ兵長とは会っていなかった。
1人の時間を邪魔してはいけないとも思ったが何となく近寄りがたかった。
その代わりリヴァイ班のオルオ・ボザド、ペトラ・ラル、エルド・ジン、グンタ・シュルツと交流する機会が増えていた。
そして、わたしは今回ハンジ・ゾエ分隊長率いるハンジ班に配属された。
『そうだね。初めての・・・壁外調査・・・』
すると前方の方から出発の合図が聞こえてきた。
「付近の巨人は粗方遠ざけた!
開門30秒前!!!!」
「いよいよだ!これより人類はまた一歩前進する。
お前たちの成果を見せてくれ。」
「開門はじめ!!!!!!!」
ガガガ・・・門が開く音がする。
「進め!!!
第57回壁外調査を開始する。
前進せよ!!」
エルヴィン団長の掛け声と共に一斉に手綱を引いた。