第2章 目覚めの朝
「エルフィ!遅いぞ。寝坊でもしたのか?」
同じ104期生のコニー・スプリンガーが少し茶化すように話しかけてきた。
『コニー・・・ちょっと嫌な夢を見て。』
「嫌な夢?なんだそりゃ」
「エルフィの分の夕食を全部食べられちゃう夢とかでしょうか??」
それは残酷です。近づいてきた女兵士・・・サシャ・ブラウスは顔面蒼白でそう答えた。
『それは、サシャにとっては地獄のような出来事ね』
彼女もまた104期の同期である。
『んーん、夢の内容は忘れちゃったけど何か嫌な夢を見た気がして。』
「ふーん、そっか。まぁ元気だせよ」
『ん、ありがとう』
「エルフィ、おはよう」
『アルミン、おはよう』
あの当時よりも大きくなり少し男らしくなったアルミン・アルレルトは変わらない笑みでわたしを見つめた。
「よく眠れた?さっき少し聞こえてたんだけど」
『あんまり。
・・・当時の夢を見たの。よりによって今日という日に』
「そ、っか・・・」
すると彼は「大丈夫だよ」と手をギュッと握った。
「あの時の僕らは・・・何も出来ない力のない子供だった。けど今は違う。戦える力をつけたんだ。大丈夫だよ、エルフィ」
『・・・うん』
「訓令兵、3番目の実力者なんだ!自信もってよ!エルフィ」
『ありがとう、アルミン』
座学は負けるけどねとおどけてみせると彼も同じく笑いかけてくれた。
こんなにも平和に感じる日常なのに・・・。