第2章 目覚めの朝
『はっ・・・』
酷く目覚めの悪い朝だ。
よりによって今日という日にあの時の夢を見るなんて・・・。
845年、シガンシナ区が陥落したその年。
当時10歳だったわたしは12歳になったと同時に訓令兵団に志願。
3年間、104期訓令兵として務めこの度 調査兵団に入団することになった。
・・・あの後のことはよく覚えていない。
壁を破壊され気がついたらウォールローゼまで逃げていた。
どのように走ったのかも どのように息をしていたのかも忘れるほど
ただ、ひたすらに生きていた。
あの日からわたしは母に会えていない。
・・・そして、父はあの日の壁外調査で亡くなったとエルヴィン団長から聞いた。
回収できるものは何一つなくわたしの元に残っているのは何も無い。
コンッコン
「エルフィ?」
『ミカサ?どうした?』
「もう少しででないと遅刻しちゃうから呼びに来た。」
『ありがとう。もう少しで出れるから先に行って?』
彼女はコクンと頷くとドアをしめようとする。
『あ・・・ミカサ!
やっと・・・エレンに会えるね?』
すると彼女の表情は少し険しくなり
「エレンは・・・わたしが守らないと」
と呟いた。