第5章 緊急事態…
兼続「そんじゃ、ひとまずこの辺りを探ってみるか」
「はいっ、宜しくお願いします」
目的地に着いた私たちは、手がかりがないか手分けして探した
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だけど、いくら探しても、元の世界に戻る手がかりらしいものは出て来なくて_
気付いたら辺りは夕焼けに染まっていた
兼続「結局、収穫はなしか」
「そうみたいですね…」
私は、はぁ…と小さく溜息を吐いた
景勝「……もうちょっと探してみない?」
そう、景勝くんが言ってくれた事は 凄く嬉しいかった!
嬉しかったけど……
「ううん。さすがに悪いよ。景勝くんも、兼続さんも、一生懸命探してくれたんだし……」
(それに……)
「これ以上、お二人に迷惑掛けたくないから…」
そう言って、私は無理矢理笑顔を作った
兼続「お前の目が覚めた時、すぐこの辺りを探ってたら、手がかりが残ってたかもしれないけどな。ま、恨むなら考えの足りなかった自分を恨めよ」
確かに、兼続さんの言う通りかもしれない…けど_
(何もそこまで言わなくても……)
手がかりが見つからなくて傷心していた所に
兼続さんの言葉で更に傷口を抉られた感じに思えた
兼続「……あと少しで完全に日が暮れるし、ふもとまで下りて宿でも取るか」
「お城には帰らないんですか?」
兼続「ああ。この近くで一泊すれば、明日帰る前にもう一度、手がかりを探せるだろ?」
「えっ?」
兼続さんから思っても無かった事を言われて、私は驚いた
兼続「帰りたいなら帰るけど」
(兼続さん……)
「いえ、嬉しいです……。ありがとうございます、兼続さん」
私は笑顔で兼続さんにお礼を言った
兼続「別に、礼を言われる程の事じゃ無いから。じゃ、さっさと山を__」
兼続さんは、急に喋るのを止めた
「兼続さん…?」
兼続「しっ、黙ってろ」
言われて静かにすると…
(足音…? こんなにたくさん。誰だろう?)
足音の正体を確かめようとしたけど…。
それより早く、景勝くんが茂みの中に私を押し倒した。
(えっ…?)
突然の事で驚いていると、景勝くんの手で口を塞がれた
景勝「声出しちゃ……ダメ……」
耳元で囁かれて、私は胸がどきどきするのを感じながら訳も分からず、ただ頷く事しか出来なかった。
(一体、何が起きてるの…?)