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【YOI男主】大切な人【男主&勇利】

第1章 波乱の幕開け?


勇利の手を借りてどうにか立ち上がった純は、「お前も一緒においで」とヴィクトルに言われて僅かに慌てた。
「え?何で僕が」
「ついさっきまで俺の胸でビービー泣いてた癖に、今夜独りで眠れるのかい?」
ピーテル滞在中、純は現在一時帰国している独身駐在員のアパルトメントを、期間限定で間借りしていた。
「それに俺は、今日の事についてお前達に説教しなきゃいけない。判ったら言う通りにしなさい」
「──行こう」
勇利に手を引かれながら、純は大人しく2人に続く。
暫くして、ヴィクトルのスマホに配車のドライバーから連絡が入り、合流場所から車に乗り込んだ。
車中、ユーリとギオルギーから自分を心配するメッセージが届いていたのに気付き、純はつくづく今日の自分が、勇利やヴィクトルをはじめ周囲にどれ程迷惑を掛けていたかを痛感した。
「ユリオのヤツ、自分もサユリを探しに行くんだって聞かなかったんだよ?流石に未成年を連れ回す訳にはいかないから、ギオルギーに送らせたけど」
助手席からそう告げてきたヴィクトルに首を竦めつつ、純は明日きちんと礼と謝罪をしようと思いながら、彼らへ無事を知らせる返信をした。

初めて訪問するヴィクトルの家の玄関を、純は些か緊張した面持ちで入る。
直後、主人達の帰宅に大喜びで飛び出してきた巨大なスタンダードプードルと『ぶつかり稽古』をする羽目になったが、かえって緊張感がほぐれた。
「マッカチンちゃん!久し振りやなあ。元気やったか?」
過去に犬を飼っていて、昨年末の長谷津でも滞在中ずっとブラッシングその他を堪能していた純の事を覚えていたのか、マッカチンはちぎれんばかりに尻尾を振りながら、純の顔を舐め回す。
そんな純の様子に少しだけ安心しながらも、ヴィクトルはマッカチンに離れるよう言うと、リビングへと移動した。
先程勇利に買って来て貰った飲み物を冷蔵庫に仕舞うと、湯を沸かしながら、キッチンの棚からハーブティーを取り出す。
「眠れない子には、1匙のカモミールティーってね」
「僕は童話に出てくるウサギやないねん」
「危うく食べられそうになった奴が良く言うよ。畑の野菜泥棒ならぬ酒臭い子ウサギちゃん♪」
ヴィクトルの揶揄に純は渋面を作った。
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