第1章 あなたは私の好きな人
「そう言えば、お前美術部の方はどうなんだよ?コンクール近いんだろ?」
『あーうん。まぁまぁかなー。後は仕上げと細かいところの修正かな。今回はあんまり自信ないんだよねー。』
もうすぐ締切だというのに、未だに納得する絵が出来てない私。毎日楽しそうに描く由紀が羨ましいと時々思う。
「とか言いつつ、前回受賞してたじゃん。」
『あれは、たまたまだって。私より由紀の方がキラキラして綺麗な絵描いてるし。』
本当あれは偶然。
受賞なんてそう簡単に取れるもんじゃないし、由紀の方が受賞してるのは事実。
勉強はダメだけど、絵の才能はあるんだよねーあの子。
「お前ら本当仲いいよなー。」
『まぁーね!高校で出来た一番の親友だからね。貴大だってバレー部のメンバーと結構仲良いじゃん。』
いつも何だかんだで仲良いのが伝わる我が校の男子バレー部。
一緒にいて、見てるこっち楽しくなる。
「あれは、まぁ同じ目標を目指しているし、仲悪かったらダメだろ?」
少し納得行かなそうに貴大は答える。
『確かにー。じゃあ戦友だ。いいなーそういうの。』
「……。」
貴大ところを見ているとバレーに熱中していた昔の自分を見てるようになる。
そんな気持ちが貴大に伝わったのか、少し切なそうな顔をした。
『あーごめんごめん。そう言うの意味じゃ無いから。
また試合応援行くから頑張ってね!』
「あぁ。」
少し気まずい雰囲気になりつつも、その後もくだらない話をして過ごした。
私はこんな何でもない貴大と過ごす日常が大好きだ。