第3章 雨
※由紀
「あれ、かなり気にしてる感じ?」
夜海が行く後ろ姿を見て及川が言う。
「ま、そんなとこ。諦めて、もう大丈夫って口にはしてるけど、まだ落ち込んでるみたい。」
「マッキーはその事知ってるの?」
「知るわけないって。雰囲気では気づいてるかもしれないけど、夜海に、花巻には何も言わないよ口止めされてるし、今、必死に諦めようってしてるんだもん。変なことして余計困惑されたくないから。」
「あーあー。マッキーは夜海ちゃんと付き合うって思ってたのになー。」
「それは私も思った。」
夜海が花巻とこを想ってるのはこの学校で夜海と仲良くなってすぐにわかった。
そして、きっと花巻も…。
でも、それは私の勘違いだったのかな?
「一層の事、俺と夜海ちゃんが付き合ってのはどう?」
「それもない。」
爽やか笑顔で提案する及川だけど、私はそれも拒否する。
「由紀ちゃんって俺に厳しくない?俺、結構人気あるんだよ?」
「別にそんなことは無いけど。私はただ、夜海の一番の味方でいたいだけ。夜海にはいつも元気で幸せでいて欲しいの。」
ほとんど知り合いがいない中に入った学校で、夜海最初に声をかけてくれた。
部活も一緒で毎日が楽しい。全部夜海のおかけだと思ってる。だからこそ私は夜海を大切にしたい。
「俺だって、夜海ちゃんとこ幸せに出来るかもよ?」
「及川みたいに誰にでも告白しちゃう人はだめ〜。」
及川は優しいし、人気のあるし、カッコイイとは思うけど、夜海を幸せにしてくれるのはきっと花巻。
もしくは………。
「別に誰にでも告ったりしないよ俺。ただ、気に入った子とは仲良くなりたいだけだよ。」
「はいはいー。さすが、学校一の人気者ですね。」
「棒読みなんだけど…。」
及川とそんな話をして、お昼休みは終わった。