第2章 蒼き竜と虎の娘②~想い~
言われた言葉の意味がわからなくて。
私の頭は真っ白になった。
「…ゆきの立場もわかってる。それでも俺は、お前が欲しい」
「……なに、冗談言って…」
声が、震える。
「冗談じゃねぇ…言ってる意味はわかるな?恋人になるとかじゃない…伊達に嫁ぐか、否かだ」
私が伊達に嫁ぐ…?
そうしたら武田は…?
頭の中をぐるぐると思考がめぐって。
とても、まとまらない。
「…今すぐ答えろとは言わない…考えておいてくれ」
そんなの、駄目に決まってる。
頭ではわかっていても、その言葉を私が言えることはなかった。
帰りの車の中は、二人とも終始無言だった。
政宗も黙って運転していたし、私は何か喋ると泣きそうな気がして。
結局、会話もないまま家の前まで送ってもらった。
「…じゃあ…」
車から降りようとした瞬間、ぐっと引き寄せられる。
「!?」
「…ゆきが、どっちを選んでも構わない。…ただ、これだけは覚えておいてくれ」
大きな手がゆっくりと頬を撫でて。
ひとつの瞳が、切なく私をうつす。
「…俺の気持ちは、ずっと変わらない……ゆきを、愛してる」
優しく触れた唇が、切なくて。
泣きそうになったけれど、
彼の前では、泣いてはいけないと思った。
何より政宗も、泣きそうな瞳をしていたから…。
○to be continue…○