第1章 蒼き竜と虎の娘①~Surprise Birthday~
今日は、随分と静かな日だった。
いつも騒がしい妹と、口うるさい小十郎は、朝から二人で出かけて行ったまま帰ってこなくて。
俺の誕生日にパーティーをしようと言ってきた幼なじみも、俺が乗り気じゃなかったのが気に入らなかったのか、それから音沙汰がない。
別に今日は誕生日だからどうこうという訳ではないが、こう何もないとつまらないものだ。
こんなにヒマなら、パーティーの話にのっておくんだった…そう思っていたら、突然静寂が破られて。
「政宗殿ぉぉ!!」
「……What?真田幸村??」
叫びながらこちらへ向かってきているであろう、武田組の若頭の声が聞こえて、何事かと部屋から顔を出した。
「政宗殿!!突然押しかけて申し訳ないが、ウチのお嬢はこちらに来てござらんか!?」
「いや…来てねぇけど…どうかしたか?」
「それが…お嬢の姿が見あたらなくて…携帯も繋がらないのでござる…組の衆の話によれば、朝方ちょっとコンビニに行くと行って家を出たきりのようで…」
焦りを滲ませた幸村の表情は、嘘を言っているようにはとても見えなくて。
しかももう夕暮れ時。
朝方コンビニに出かけたきり、連絡がつかないのはおかしな話だろう。